日本では、野生のキツネは法律によって守られていて、むやみに捕まえたり傷つけたりしてはいけないことをご存じでしょうか。
ですが一方で、キツネは「狩猟鳥獣」に指定されています。
👉「鳥獣保護管理法で捕獲してはいけないけど、狩猟鳥獣に指定されている」
この矛盾が引っかかり独自で調べてみました。
📜 キツネは捕獲禁止?その理由と歴史的背景
野生のキツネは鳥獣保護管理法によって、原則として捕獲や殺傷が禁止されています。これはキツネに限らず、日本の野生鳥類や哺乳類全般に共通するルールです。
⚠️改正前「鳥獣保護法」→2014年に改正され「鳥獣保護管理法」に変わりました。
この法律があるのは、野生動物を守り、生態系のバランスや生物多様性を維持するためです。
鳥獣保護管理法の目的には、「鳥獣の保護および管理、狩猟の適正化を図り、生物の多様性の確保や生活環境の保全、農林水産業の健全な発展に寄与する」と明記されています。
「身近に多くいるから大丈夫」と思われがちな動物でも、無秩序な捕獲が続けば数を減らし、絶滅の危険にさらされることもあります。実際に、メダカが絶滅危惧種に指定されたのもその典型です。
江戸時代には「害獣」として駆除されることが多かった動物たちも、現代では「保護・管理」という新しい価値観で扱われるようになりました。キツネも例外ではなく、”野生動物だから守る”という大原則のもとに保護されているのです。
✏️人間社会に害を与えるかどうかや希少かどうかに関係なく、“野生動物である”という理由だけで保護の対象になる。
⚖️ 鳥獣保護法のしくみ
鳥獣保護法は、日本に生息する野生の鳥類と哺乳類を対象としています(ドブネズミなど一部の種やイルカ・クジラなど海棲哺乳類は除外)。
基本は 「捕ってはいけない」。例外として許されるのは以下の2つだけです。
狩猟による捕獲
狩猟免許を持ち、登録をしたハンターが、定められた猟期と区域で、国が指定した「狩猟鳥獣」のみを捕獲できます。
※キツネもこのリストに含まれますが、厳しいルールの中でのみ可能です。
許可による捕獲
有害鳥獣の駆除や学術研究、保護増殖などの目的で、都道府県知事や環境大臣の許可を得た場合に限り認められます。
いずれも、一般の人が勝手に捕まえることは違法で、1年以下の懲役または100万円以下の罰金が科される可能性があります。
🦊 キツネは「捕ってはいけない」のに、なぜ狩猟鳥獣なの?
矛盾してない?
キツネは鳥獣保護管理法で守られていて、狩猟は禁止されている。
ところが一方で『狩猟によって捕獲してよい特別な動物』とも言われます。
これはどういう仕組みなのでしょうか?
ただし例外として「狩猟鳥獣」に“指定された種だけ”、免許・登録・猟期・区域・猟法など厳格な条件を満たす場合に限り狩猟が可能です。
キツネ(ホンドギツネ)は全国的には「狩猟鳥獣(獣類20種)」に含まれます。一方、都道府県がさらに厳しいローカル規制を上乗せでき、千葉県のように「キツネは捕獲禁止」としている所もあります。
👉つまり、「保護法で狩猟が禁止=原則」の上に、「指定された種に限って厳しい条件下での狩猟を許す=例外」という二層構造です。
矛盾ではなく“原則禁止+限定的な例外”の関係です。
🔴法律の立て付けが「原則禁止」
狩猟は「法定の猟法で、狩猟鳥獣だけを捕獲すること」と定義。狩猟鳥獣以外は狩猟禁止で、狩猟をするにも免許・狩猟者登録・猟期・区域・猟法など多くの制限を守る必要があります。(環境省)
🔴“狩猟鳥獣リスト”に入っていても、都道府県が上乗せ規制
例:千葉県は「キツネは捕獲禁止」と明記。県が独自にメスの捕獲を禁じる種を設定するなど、地域事情でさらに絞られます。(千葉県ホームページ)
🔴場所と時期の縛りが非常に強い
全国の基準猟期は (本州等)11/15–2/15 、(北海道)10/1–1/31が原則。さらに鳥獣保護区・休猟区・市街地等の狩猟禁止区域では、リスト掲載種でも撃てません。
⚠️ 誤解注意!キツネだから特別なわけではない
👉つまり、イノシシやシカと同じく「守られているが、管理のために捕獲が許される場合もある」位置づけです。
ですので、行政が「有害鳥獣」と認めれば、捕獲許可を出して駆除班が活動します。
[主な理由]
- 農作物(果樹や養鶏)への被害
- 家畜やペットを襲う事例
- 都市部でゴミを荒らし衛生問題を引き起こす
※実際に、北海道の一部農村では エゾキツネが養鶏を襲うため有害鳥獣として捕獲される例があります。
🦌🐗キツネが、シカやイノシシのように全国的な「管理捕獲」や駆除対象に広く指定される可能性は、今のところ低いと考えられます。
なぜなら、キツネによる農林業被害は限定的で、イノシシやシカに比べて経済的損失が少ないためです。
🚨 誤って捕まえたり傷つけてしまった場合
例えば車で轢いてしまったり、仕掛けた罠に偶然かかった場合も「捕獲・殺傷」に当たり、原則は違法行為になります。
※法律上は「捕獲・殺傷」に該当する可能性があるが、事故や不可抗力の場合は処罰されにくい。ただし、その後の扱い次第で違法になる→その後に持ち帰ったり飼う行為は違法になります
👉自治体の環境課や専門機関に連絡すること
各地には「傷病鳥獣救護制度」があり、必要と判断されれば動物園や専門団体と連携して保護・治療を行い、自然復帰を目指します。
※傷病鳥獣救護制度は「人のせいで傷つけてしまった命は、人が責任を持って助ける」という考えのもとにある仕組みです。
一方で、野生動物を人が“飼うため”の制度ではなく、あくまで自然に帰すための一時保護という点が大きな特徴です。
🛑 例外的に捕獲できるケース
有害鳥獣駆除:農作物や家禽に被害が出る場合、行政の許可を得て捕獲することがあります。
- 特定外来生物対策:アライグマなど外来種は別の法律により駆除が優先されます。
- 緊急避難:人の安全が直ちに脅かされる場合、やむを得ず駆除されることがあります。
※ただし、これらはすべて行政や専門機関の管理下でのみ行われ、個人の判断で「害獣だから」と捕獲することはできません。
🔬 研究目的での扱い
キツネに発信機を付けて行動調査をするなど、学術研究を行う場合は「許可による捕獲」にあたります。
- 都道府県知事や環境大臣に研究計画を提出し、申請が受理されれば実施可能です。
- 調査後は原則として元の生息地に放獣されます。
- 動物実験倫理委員会の承認や、動物福祉への配慮も必須です。
※研究目的でも、許可なく捕獲することは絶対にできません。
🌿 まとめ
日本のキツネは、鳥獣保護法によって原則として捕獲が禁止され、人と自然が共存するために守られています。
それは、シカやイノシシも同じです。
一方で、駆除の判断基準は人間側の事情、経済的損失や衛生上の懸念、安全性の確保、によって下されます。
結局のところ、野生動物を「有害」とするか「無害」とするかは、人間の都合によるものなのです。
そのような一方的な価値観のもとで命が奪われることに、釈然としない気持ちを覚えるのは自然なことだと思います。
だからこそ私たちは、被害を防ぐ知恵や暮らしの工夫を通して、命を奪わずに共存する道を探していきたいですね。
思い出してみてください。
✏️人間社会に害を与えるかどうか、希少かどうかに関わらず、「野生動物である」という理由だけで保護の対象になる――この理念が法律の根底にあることを。
僕はそこに、とても前向きでポジティブな意味を感じました。
ですが最近では、その理念が忘れられ、思考のバランスが崩れてきているようにも思えます。
野生動物とどう向き合い、どんな関係を築いていくのか――。
それは、未来を生きる子どもたちへつなげていく問いなのかもしれません🦊🌿

