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野生での寿命はたったの3〜5年
日本の本州・四国・九州に生息するホンドギツネは、静かな森や人里近くでもその姿を見せる野生動物です。
そんな彼らの寿命は、実は野生下で平均3〜5年程度と、驚くほど短いものです。
特に厳しいのは生後1年以内で、1歳までに生き残れる個体はわずか4%以下とも言われています。多くの子ギツネがその短い命を終えてし舞います。
飼育下では10年以上生きることも
一方、動物園などの飼育環境では大きく異なります。
名古屋市東山動植物園のホンドギツネ「紺」は16歳まで生き、岩手県の「がんづき」は10歳で天寿をまっとうしました。
十分な栄養と医療、そして安全な環境があれば、10〜15年ほど生きることも珍しくありません。
命を脅かすものたち
野生下で命を縮める大きな要因のひとつが感染症や寄生虫です。
犬ジステンパーや疥癬(かいせん)といった病気は、群れ全体に広がり命を奪うこともあります。
さらに深刻なのが交通事故。人里に下りてきたキツネが車に撥ねられるケースは後を絶ちません。
人との関わりが寿命を左右する
もう一つ大きな要因は、人間との関係性です。
農作物や鶏などの被害を理由に害獣として駆除されることもあれば、生息地の開発によって暮らす場所を失うこともあります。
また、人からエサをもらうことで警戒心が薄れ、結果的に命を落としてしまうケースもあります。
私たちにできること
ホンドギツネの命の長さは、自然だけでなく人の関わりによっても大きく左右されています。
私たちにできるのは、「かわいい」からと安易に近づくのではなく、そっと見守り、彼らの暮らしを尊重すること。
一頭でも多くのキツネが、自然の中で少しでも長く穏やかに暮らせるように──
そんな思いやりが、これからの共生の第一歩になるのかもしれません。
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